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| 2005/08/05 |
SOG賞紹介 |
梅雨も明け、夏空となった海の日の連休、みなさんはどうすごしていましたか？
7月15日〜18日にかけては東京国際レズビアン＆ゲイ映画祭がスパイラルホールと東京ウィメンズプラザの2会場で盛大に行われていたので、これに参加した方も多いと思います。映画祭レポートはまた別にお届けすることにして、今日は連休中の別のイベントで見つけた「ある賞」ついてお話したいと思います。
7月16日、17日の2日間、神奈川県のパシフィコ横浜では年に一度のSFファンのお祭り「第44回日本SF大会 HAMACON２」が開催されていました。これはプロの作家も漫画家も読者もファンも（ゲストオブオナーと呼ばれる代表的招待客以外は）みな同じ立場で参加費をはらって参加する催しです。そして参加者有志が企画する、「SF」をキーワードにした思い思いの企画（=文化祭の出し物のような、座談会・クイズ大会・展示・発表会・体験コーナーなど）を通して、SFのすばらしさを分かち合おうというお祭りです。
そして、このSF大会の企画のひとつとして「Sense of Gender（センスオブジェンダー）賞」の授賞式がありました。Sense
of Gender 賞とは作家の小谷真理氏が代表を務めるジェンダーSF研究会が主宰し、前年度の1月1日〜12月31日までに刊行されたSFまたはファンタジー作品の中から性的役割（=ジェンダー）について深く考えさせられる作品を選び、褒め称える賞です。海外では1991年より同様の趣旨のジェームズ・ティプトリー・ジュニア賞が多数の女性SF作家＆ファンにより運営されていて、ジェンダーSF研究会はこの主催者たちと連絡を取り合いながら活動を行っているという事です。
第1回〜第4回までのSense of Gender賞受賞作品を見てみましょう。
■2001年
第１回SOG賞大賞 茅田砂胡 『スカーレット・ウィザード』 （中央公論社)
■2002年
第2回SOG賞大賞 小林めぐみ『宇宙生命図鑑』(徳間デュアル文庫)
第2回SOG賞特別賞 西澤保彦『両性具有迷宮』(双葉社)
■2003年
第3回SOG賞大賞 笙野頼子『水晶内制度』(新潮社)
第3回SOG賞特別賞 野火ノビタ『大人は判ってくれない 野火ノビタ批評集成』(日本評論社)
■2004年（今回の授賞式で発表があったものです）
第4回SOG賞大賞 粕谷知世 『アマゾニア』（中央公論新社）
第4回SOG賞特別賞 川原泉『ブレーメンII』全五巻（白泉社））
第4回SOG賞特別賞 小谷真理『エイリアン・ベッドフェロウズ』（松柏社）（但し、受賞辞退）
※作品の詳細については長くなりますので、amazonやbk1などでご覧ください。
ここでは受賞作品のタイトルのみを紹介しましたが、みなさんにはぜひジェンダーSF研究会のサイトに掲載されている選評を読んで欲しいと思います。選評には受賞しなかった候補作に対するものも含め、各回5名ずつの選者の「なぜ各作品がジェンダーを取り上げた作品として優れているのか？」という思いが細かに表わされていて、いわゆるレズビアン物を得意としている作家以外にも多くの人が「ジェンダー」「セクシュアリティ」について問題意識を持った作品を発表している事が判ります。裏を返せば、「問題意識を持って読めば、どんな作品にもジェンダーに対する問題提起を読み取ることができる」という事かもしれませんが…。
活字というのは、多くの人に考えを伝えることの出来る手段です。一冊の本が読者の心や思考を刺激して、みんなの心の中でくすぶっていた思いを大きな方向へまとめていく、ということは珍しくありません。つい最近まで、文字で他人に考えを伝える方法は、新聞や書籍など一部の人の特権的なルートか、一対一の手紙、街頭でのビラなどあて先の限られた手段でした。しかしインターネットの普及した現在、自分の考えを他人に伝える手段はメール、ホームページ、Blogなど、格段に手軽に、誰でも利用できるようになりました。あなたも読んだ本の感想や、日常で不思議に思った事など、インターネット上で発表してみませんか？同じ作品を好きな人同士、同じことを疑問に思っている人同士のつながりが広がっていけば、世界の「あたりまえ」が変わっていくかもしれません。
ちなみに今年の参加者の中にはBravissima!の書籍コーナーでご紹介した「ゼウスの檻」の著者、上田早夕里氏のお名前もありましたが、なにせ1000人近い参加者が4フロアに渡って右往左往している会場の中ではお会いする事はかないませんでした。
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| written by Kana |
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コラム