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2001/06/12 |
友へ |
先日私の友人が氷の下で発見されました。
北極の氷の割れ目に足を取られたらしく、冷たい海に足を取られて遺体で発見されました。
彼が今年日本で最終調整しているとき彼女が出来た。
離婚してまで選んだ彼女だ。
彼に離婚の事は告げた。あんなに仲がよかったのにね、、、残念だ。と言葉をかけてくれた。
彼女と居るから私は幸せだよ、、、その言葉はいえなかった。
まだ誰にも言えなかった時期だった。
彼が日本を出て北極点向けて歩き出した時私の中でも動き出すものがあった。
たった一人で歩き出したように見える彼、、、
しかしその後ろでは実に多くの人間が支えてきていた。
彼の家族はもちろんサポートグループの人間、彼に夢を託した人間がたくさんいた。
彼の身体は一人で歩いたが、彼の引っ張るボートには実に多くの人間の思いが一緒に歩いていた。
決して彼は一人ではなかったと思う。
交わす言葉の多くに共感した。
いくつになっても子供のようなまなざしを持つ人で、私は40を過ぎてもこんな瞳で居られるだろうか?と感じた。
私にその自信はないけれど、私の出逢った恋人<彼女>はきっと40になってもどんな時でも彼と同じまなざしで世界を見れる人だから、彼に会って欲しかった。
彼が日本に帰ってくるのは、計画の中だけでも数年後だった。
帰ってきたら、彼に私の彼女を紹介しよう。
隠す事ではない、彼女は私の誇りなのだから、そう思っていた。
何年もかけて冒険した彼なら同じまなざしを持つ彼女を、
<レズビアン>であるという事を空気のように理解してくれるだろう。
<レズビアン>という小さいようで当事者にとって大きな問題もレズビアンを含む
人間を生み出した大地とともに歩いた彼なら、、、、、。
彼はもう声を聞かせてくれない。
私の声も届かないし、彼女の事も伝えられない。
私は彼のまなざしや、取り巻くいろんなものから多くのものを学んだ。
本を読むだけではない、実際に行って見なければ何もはじまらない事。
日常より一歩前へ出ることが冒険だ、彼は言っていた。
私は彼に比べればとても小さい冒険出でる事にした。
一歩前へ、、、カミングアウト!
彼女も了解済みだ。
ゆっくり無鉄砲にならないように話していきたい。
まずは若くして大地の一部になった彼へ、、、、。 |
written by 麻子 |
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