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セクシャリティ関連映画 [1980年代(3)]
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ホテル・ニュー・ハンプシャー
cover
製作年/国: 1984年/米国
監督: トニー・リチャードソン
キャスト: ジョディ・フォスター
ナスターシャ・キンスキー
メディア:
ストーリーとポイント
1950年代、夢想家ベリーは念願叶って「ホテル・ニュー・ハンプシャー」を開き、 最愛の妻や五人の子供たちと暮らしていた。 だが、長女は強姦され、心臓の悪かった祖父が急死、ホテルも経営難にたたされる。旧友の誘いで、一家はオーストラリアに移住することになるが、その飛行機が墜落し妻と末弟を亡くしてしまう。 次々と不幸が押し寄せても、希望と喜びを忘れずに力強く生きていく一家の物語を ユーモアを交えて描く。アメリカ現代文学の鬼才ジョン・アービングのベストセラーを映画化。

レイプを克服した長女フラニーが、「自分は醜い」と思い込み熊の毛皮をまとうスージーの心の傷を癒し、同性愛の関係を持つシーンが印象的。ゲイでいじめられる長男、長女に近親相姦的愛情を持つ次男、背が伸びずに悩む次女、難聴の三男、問題を抱えつつも明るく生きている兄弟たちの姿に勇気づけられる。ベリーの教訓「開いた窓は見過ごすこと」を胸に刻みたい。長大な原作をみごとに描ききった傑作。一度は観て欲しい作品。
ラ・ピラート
製作年/国: 1984年/フランス
監督: ジャック・ドワイヨン
キャスト: ジェーン・バーキン
マルーシュカ・デートメルス
メディア:
ストーリーとポイント
主人公アルマ、夫のアンドリュー、アルマの元恋人キャロル、キャロルに寄り添う謎の少女、アンドリューの手下ナンバー5。誰からも愛される女性アルマと彼女を追い求める4人の物語。アルマを思いつづけるキャロルは少女を伴い、アンドリューのもとから強引にアルマを連れ去った。アンドリューはナンバー5にアルマを連れ帰るように依頼する。

「ラ・ピラート」とは海賊の女性名詞で、アルマを求める感情のまま奪い去ろうとする、キャロルのたくましい姿に重なる。誰をも愛すがゆえに誰も愛せないアルマという不思議な女性をジェーンがみごとに具現化。愛されるためだけに存在したかのようなアルマの悲しい結末が心に残る。アルマを演じるジェーンと夫役のアンドリュー・バーキンが実の兄妹というのも、人間の情欲を見つめつづける監督のこだわりが感じられる。
ビビアンの旅立ち
製作年/国: 1985年/米国
監督: ドンナ・デイチ
キャスト: メヘレン・シェイヴァー
パトリシア・シャーボノー
メディア:
ストーリーとポイント
1959年、砂漠とカジノの街・ネバダ州リノ。ニューヨークに住む35歳の英文学教授ビビアンは離婚手続きのため、この街にやってきた。フランシスが経営する民宿に滞在するビビアンは、彼女の継娘で、カジノで働きながら彫刻家を目指すケイと出会う。自由に生きることを望み、今の生活に不満を持つ二人は、自然に親しくなっていく。

ケイは周囲にもカムアウトしているレズビアン。ケイのセクシャリティを認めようとしない継母フランシスが、恋の行方を阻むあたりには胸が痛む。2人が初めて一夜を共にするシーンは情感たっぷりに描かれていて見応えあり。ラスト、列車で旅立つ2人に明るい未来を予感して、嬉しくなってしまう。 日本劇場未公開。なかなか観られないのが惜しい、ビアン映画の佳作。
月の出をまって
製作年/国: 1987年/米国
監督: ジル・ゴッドミロー
キャスト: リンダ・ハント
リンダ・バセット
メディア:
ストーリーとポイント
作家ガートルード・スタインとその秘書アリス・B・トクラスがモデル。第二次大戦前、南フランスの別荘を舞台に、二人の暮らしを、若い芸術家達との交流とともに描きだした作品。二人の著書から設定・台詞を引用とフィクションの交差という手法で、在りし日の二人の静かな生活を想起させる。

スタインは「Q.E.D(証明終わり)」など難解な作風で知られる先鋭的レズビアン作家。生涯をともにしたアリスとの同性愛的友情もよく知られている。気難しいスタインに腹を立てながらも、彼女を気遣うアリスに信頼と深い愛情を見て心が温まる。スタインはパリのサロンで、ピカソ・マチス・ヘミングウェイなど、当時若かった芸術家達のパトロン的役割をになっていたことでも有名。
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