1作目「女神(ヴィーナス)の永遠 」、2作目「聖母(マドンナ)の深き淵」に続き、やっと本3作目を読みました。
1作目は女性同士の恋愛、2作目では男性同士の恋愛+性同一性障害者と女性の友情が描かれていましたが、さて3作目は、というと・・・。男も女もなくて、“人を愛するという事”について語られていたような気がします。
主人公とシンクロしながら、見えそうで見えない深い謎を追っていくと、読む手が止まりません。余談ですが、小説を読んでいると、第三者の目で映画を見るように読んだり、ただ字を追ったり、作者の執筆時を想像したりします。このRIKOシリーズの場合、何故かこの小説の中にいるような、主人公にシンクロするような気になります。
今回は、残忍な刑事殺しを軸に、人と人が過去をさかのぼって繋がっている様が描かれ、誤認逮捕や自動虐待がピックアップされています。それと共に、2作目で謎だった元刑事とヤクザの関係やそのヤクザの過去(彼を題材にした小説「聖なる黒夜<上下>」もあります!)も少し明らかになります。
1作目から通して書かれていますが、友人、同僚、母、父、兄弟姉妹、恋人、妻、夫、子供などの呼び方で呼ばれる全ての「人と自分のあり方」について、今回は深く考えさせられた気がします。読み終わった後は、なんだか自分が薄っぺらいような気がして不安にすらなりました(笑)。
小説のストーリーではなくて、その根底にある「人を愛するということ」の一つのあり方に魅了されて最後まで一気に読んでしまいました。ぜひ3作通して読んで欲しいです。
1作目のレビューも掲載しています。
■「RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠」レビュー
2作目のレビューも掲載しています。
■「聖母(マドンナ)の深き淵」レビュー