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同性婚 欧州で広がる合法化 |
2005年05月10日
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英国で今年12月から市民パートナー法が施行される。同性愛者カップルにも年金や遺産相続などで男女の夫婦とほぼ同様の権利を認め、事実上の「夫婦」として扱うことにするものだ。
その第1号かと言われるのがロック歌手エルトン・ジョンさん(58)。男性パートナーのデビッド・ファーニッシュさん(42)と結婚するとこのほど発表した。
同法は教会の結婚式を認めておらず、市庁舎などに限られるが、それでも今後数年で1万組以上が「同性婚」に踏み切ると予想される。
欧州の中でも教会の影響力が弱い「世俗国家」英国ならではの寛容さだが、教義に厳格なカトリック国でも同性婚容認が広がっている。
カトリックが人口の90%を占めるスペインで先月、同性愛カップルの結婚や養子縁組を正式に認める法案が下院を通過した。多くの市長が「不道徳だ」と手続き拒否を宣言。スペイン司教協議会も「社会の基本的なモラルを破壊するもの」と猛反発したが、フェルナンデス副首相は「祝福してくれる市長のところで結婚すればいい」と意に介さない。サパテロ社会労働党政権の選挙公約でもあり、上院の可決を経て夏ごろに施行されるのは確実とみられる。
多様な価値観を尊重する欧州では既にオランダとベルギーが同性婚を合法化しており、北欧諸国の多くも「登録パートナー」として夫婦に近い権利を認めている。同性愛者の社会的権利を拡大する欧州の動きは強まりこそすれ、後戻りすることはないだろう。
米国では逆に、キリスト教右派が支えるブッシュ政権が同性婚禁止を盛り込むため、憲法修正を目指している。新法王ベネディクト16世を選んだローマ法王庁も同性婚を否定している。欧州の寛容さか、米政権と法王庁の厳格さか。同性婚論争はキリスト教世界を真っ二つに分けている。
(毎日新聞)
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