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「同性愛者の娘 妊娠」チェイニー副大統領質問拒否
“政争”世論は二分

2007年2月7日
■「政治家として旗幟鮮明に」「プライバシーの問題」

チェイニー米副大統領がCNNとのインタビューで、同性愛者であることを公表している娘のメアリー・チェイニーさんの妊娠に関する質問を「ルール違反だ」と遮ったことが論争を呼んでいる。

チェイニー副大統領は同性愛に否定的なブッシュ政権のナンバー2。同性愛者の家庭で育つ子供に対する法的保護の必要性が議論される中、政治家として旗幟(きし)を鮮明にすべきだ、いやプライバシーの問題だ−と世論は二分している。

問題のインタビューは1月25日にCNNのウルフ・ブリッツァー記者が行った。チェイニー副大統領に、メアリーさんの妊娠について保守派団体から「結婚している男女の関係の外で子供が生まれることへの疑問や批判」が出ていることへの考えを尋ねた。

副大統領は「いうことはない」と述べ「6人目の孫が生まれようとしているのはうれしいが、その質問はルール違反だ」と答えるのを拒否した。記者が食い下がると副大統領は「論点からそれている」「(公正な質問という)考え方には同意しない」と反論した。

これに対して同性愛者の権利擁護団体「ナショナル ゲイアンドレズビアン タスクフォース」は「全く適切な質問だった」とCNN側を支持。30日付のニューヨーク・タイムズ紙では客員コラムニストが「副大統領自身の支持層は娘の妊娠を常識外れと批判している。彼は『ファミリー・バリュー』(米保守派的家族観)を切り札としてきた」と指摘した上で、副大統領の回答拒否について「『自分はルールにあてはまらない』という強制的なメッセージだ」と批判した。

保守派の論客として知られるニュース・キャスターのビル・オライリー氏は「回答する義務はない」としつつも「チェイニー氏は同性愛問題の政策決定に関与している」と記者の質問は妥当とする意見を述べた。同性愛問題に詳しい在米ジャーナリスト、北丸雄二さんは「同性愛カップルとその子供への法的保護はプライバシーの域を越え今最も重要な人権問題だ。チェイニー副大統領は困難な質問から逃げている」と批判する。

一方、保守派の同性愛者のブログ「ゲイ・ペイトリオット」は「ブリッツァー記者はチェイニー氏とファミリー・バリューを旗印とする団体の間にある緊張のようなものを画面に映し出したかったのだろう」とメアリーさんの妊娠を政治問題化しようとの意図があったと分析。家族のプライバシーの問題として回答しなかった副大統領の判断を支持した。

当事者のメアリーさんは31日にニューヨーク市内で行われたパネルディスカッションで「私の子供は政争の具ではない。(質問は)節度を超えている」と語った。
【ニューヨーク=長戸雅子】

≪同性愛カップルの子供は…≫
生殖補助技術の進歩とともに、さまざまな家族の形が誕生する米国では、同性愛カップルの子供の扱いが大きな社会問題になっている。女性の同性愛カップルが子供をほしい場合、精子バンクから精子を購入したり、男性の友人に精子を提供してもらったりするなどの手段がある。実際に妊娠、出産するため、産んだ女性が母親であることに議論はなく、法的問題も生じない。しかし、そのパートナーにも親権が認められるかどうかについては州によって扱いが異なる。

男性の同性愛カップルの場合、養子をとるしか子供を持つ方法がないわけだが、同性愛カップルが養子を持つことを禁止する州もあり、同性愛カップルの養子をめぐって裁判になるケースもある。フロリダ、ユタ、ミシシッピ州などは養子を認めていない。 マサチューセッツ州は全米で唯一、同性愛カップルの結婚を認めている。メアリーさんらが住んでいるバージニア州は同性愛カップルの結婚を認めていない。欧州ではオランダやベルギーでは同性愛者の結婚が合法化されており、英国では同性愛のカップルにも通常の結婚と同じ法的権利を与えている。
(杉浦美香)

(産経新聞)

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