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オススメの一冊 バックナンバー005

RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠 (角川文庫)

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ヴィーナスの永遠 ■著者: 柴田 よしき
■出版社: 角川書店
■価格: \630 (税込)
■出版時期:1997年10月

<紹介文>
男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。

その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。
彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン。それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めて―。

性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。
第十五回横溝正史賞受賞作。

<レビュー/コメント>
当初に主人公の友人という形でバイセクシャルのキャラクターが登場するのですが、主人公自体は男性との恋愛遍歴が描写されていたので、“なるほど、脇役の1人が同性愛者という小説ね”と思っていたのですが、いえいえ、完全にレズビアン小説。同性愛者キャラが出てくるミステリ?とも思って読み始めたのですが、読み終えてみると、結構レズビアン恋愛小説でした。

途中(結構早い段階)で、犯人の見当はついちゃうし、“推理小説”、“犯罪小説”として読んじゃうと、それほどおもしろくはない。だけど、テンポが良く引き込まれる文章で、数時間で飽きずにサクサク読めました。

主人公の緑子(りこ)は30歳前半の女性刑事。過去の出来事を忘れたくても忘れられず、愛した男を恨みながら憎むこともできず、人を“愛する”ということがどういうことなのか分からずにいる。その意味を考えないようにしながら、同僚(男)とカジュアルな性的関係を続け、また友人でバイセクシャルの女性とも不思議な関係を持っている。彼女との関係は緑子にとって、大切なものでなくてはならないもの、で、作者自身ゲイ?と思うような描写でした。

クライマックスには、これまでのストーリの大半を占めていた、緑子の心の中にいる男達や過去の事件は一掃され、緑子と彼女だけの世界が、ものすごい速さで映し出されます。一気に最後に書いた!ってカンジです。でも雑ではなく、2人の間だけにある、複雑な感情、愛憎が繊細に、そしてリアルに描かれていて、その切なさや愛しさが伝わってきます。

そんなに長編ではないですし、おもしろいのでサクっと読めます。ぜひぜひ読んでみてください。男性・女性を相手に性的描写がありますので、苦手な方は気をつけてください。

本作品は、緑子を主人公とした続編も出ています。
■「聖母(マドンナ)の深き淵」(1998/03)
■「月神(ダイアナ)の浅き夢」(2000/05)

2作目のレビューも掲載しています。
■「聖母(マドンナ)の深き淵」レビュー

3作目のレビューも掲載しています。
■「月神(ダイアナ)の浅き夢」レビュー

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